2012年3月27日火曜日

「第38回てんかん全国大会(岡山大会2011)」が開催:Good Doctor NET


女性とてんかん−結婚すること、子どもをもつこと

山磨康子氏 旭川荘療育センター児童院 小児神経科 医師

てんかん医療が進歩し、社会的にもてんかんに対する理解が進むにつれて、てんかんをもつ女性の結婚や妊娠の機会が増えている。子どもを望む人には、てんかんの遺伝、抗てんかん薬による奇形の発生や出生後の発達など子どもへのてんかんや薬の影響が問題となる。

まず、てんかんをもつ女性の妊娠率については、抗てんかん薬の影響でホルモンバランスに変化があるなど、受胎率は一般女性に比べて2〜3割低い。そして、胎児に一番大きな影響を及ぼす遺伝だが、てんかんを起こしやすいという素質はある程度、遺伝する可能性がある。


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妊娠中に大きなてんかん発作が起これば、胎児へ運ばれる血液が減少し、低酸素状態となる。それが切迫流産や切迫早産につながる場合もある。脳や臓器、神経細胞に損傷を及ぼし奇形が生じる場合もあり、発達障害というかたちで影響を及ぼす場合もある。妊娠中にてんかんの重積状態を起こすと、胎児が死亡したり胎盤剥離を起こすこともある。また発作で倒れた際に、腹部外傷を受けることもあり、その場合胎児死亡のリスクが高まる。

妊娠中の発作の変化について、発作の回数が増える人は、1〜2割と考えられている。発作が少なくなる人も稀にいる。胎児に対する影響を心配して、服薬を止めてしまう人がいるが、逆に発作が起これば胎児に 対する影響は薬よりもはるかに大きいので、服薬は医師と相談すべきである。


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妊娠中は抗てんかん薬の血中濃度が低くなるが、吸収率が低下することが多いことが主な理由である。悪阻(つわり)で薬が飲めなかったり、体重が増え相対的に薬の量が減ったことになるなども要因の1つである。また妊娠中は代謝が亢進し薬の排泄も促進される。妊娠後期には、薬の血中濃度が4〜6割くらい低下する。ただし血中濃度が低下したというだけで、薬を増やす必要はない。もし発作頻度が増えるようであれば、まず服薬をきちんとしているかを確認し、飲んでいても頻度が増えるのであれば服薬を増やさざるを得ない。ただし、妊娠初期には避けたほうが安全である。


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服薬中の女性が最も心配する奇形発生率は、4〜8%で、一般の人の約2倍である。90%以上の子どもには奇形はない。唇裂、口蓋裂は一般の4.7倍。心臓奇形は、3〜4倍。他にも骨格奇形、尿路系奇形などがある。これは、妊娠2〜3ヶ月までが生じやすい。しかし、薬の種類や量によりリスクは異なる。神経管と脳の奇形については、VPA(バルプロサン)とCBZ(カルバマゼピン)が高いので妊娠中は避けるほうが望ましい。また、服用する薬の数の増加に伴い、奇形発生率も増加する。薬剤数をできるだけ少なくし一剤で治療できるのが望ましい。



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